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損切りは「未来のお金を守るボタン」:損切りの戦略と実装

1. 投資日記

負けを小さく、寿命を長く。——“切る勇気”が残す利益


相場で唯一コントロールできるのは「リスクの上限」。損切りは未来の弾(資金)を残すための投資です。値動きは読めなくても、損失の天井だけは設計できます。ここでは、プロの視点で「どこで切るか」「どう守るか」を具体的に落とし込みます。

1. なぜ損切りは“未来のお金を守るボタン”なのか

  • 期待値の源泉:勝率×平均利益 − 敗率×平均損失。平均損失を一定以下に固定できれば、期待値は崩れにくい。
  • 複利の守り:大きなドローダウンは回復に必要な期待収益率を跳ね上げる(−50%は+100%でやっと原点)。
  • 心理の解放:損切りラインが先に決まっていると、保有中の迷い・祈り・ナンピン衝動が激減。

2. 基本ルール:まず“上限”を決めてから建てる

1回の損失は口座残高の0.5〜1.5%まで(初心者は0.5〜1%推奨)。
この資金リスクから逆算してロットを決めるのがプロの順番。

ポジションサイズ(ロット)=
口座残高 × リスク% ÷(エントリー−損切り幅(pips/円)×1単位あたり価値)

3. 置き方の型:テクニカル / ボラティリティ / 時間

ルール例 向く相場 弱点
①テクニカル型 直近押し安値/戻り高値の外側、ブレイクならネックの裏 トレンド相場 “ヒゲ狩り”にかかりやすい
②ボラ型(ATR) ATR(14)×1.2〜1.8を価格の外に置く 荒い値動き・イベント前後 レンジで広くなりがち
③時間型 エントリー後n本(例:3本)で反転しなければ撤退 短期デイトレ・指標回避 早すぎる離脱のリスク
推奨:「①構造」+「②ATR」のハイブリッド。=“構造の外まで、ボラ分逃がす”

4. 実装テンプレ(買い/売り)

ロング(買い)
入口:直近高値のブレイク or 押し目の反転足確定
損切:直近押し安値のかつ ATR(14)×1.3 を追加
目標:RR ≥ 1:1.2(最低)/ 1:2(理想)

ショート(売り)
入口:直近安値のブレイク or 戻りの反転足確定
損切:直近戻り高値のかつ ATR(14)×1.3 を追加
目標:RR ≥ 1:1.2(最低)/ 1:2(理想)

5. よくある失敗 → 即修正ポイント

失敗あるある 原因 対策
建ててから損切りを考える 逆算がない/一貫性ゼロ ロットは“損切り幅”から逆算。資金リスク先決。
ヒゲで刈られる 構造の内側に置く 構造の外+ATR×αで逃がす
損切りを動かして悪化 「戻るはず」バイアス 損切りは短縮のみ可/拡大は不可
指標で想定外の拡大損 イベント無視 重要指標前は新規を控える/保有は縮小

6. トレーリングと建値ストップ(利益を逃さない)

段階ルール例:
・含み益=リスク幅×1.0 到達→建値へ切り上げ
・含み益=リスク幅×1.5 到達→直近スイングの外+ATR×1.0 に追従
・大陽/大陰で伸び切りサイン→一部利確+残りトレール

7. チェックリスト(保存版)

毎トレード前にチェックしてから発注(保存版)

8. まとめ:切る勇気は“次の攻め”を生む

損切りは敗北の宣言ではなく、未来の弾薬を温存する意思決定
入口の前に出口を決める—この順番が、長く勝ち続ける投資家の共通項です。

免責:本記事は一般的な情報提供であり、特定銘柄・通貨の売買推奨ではありません。投資判断・損益はすべて自己責任にてお願いいたします。