「方向が合ってても、場所と時間がズレれば“ダマシ”になる。」
1.ダマシとは何か──定義と原理
- 定義:テクニカルの合図(ブレイク・シグナル)に従って入ったのに、すぐ逆行して損切りになる現象。
- 原理:相場は流動性(注文の溜まり)を探す。多くの人が置くわかりやすい高値/安値の外側には、ストップや逆指値が密集。そこを**一度“掃除”**してから、本来の流れに戻ることがある(= 流動性狩り)。
ポイント:合図そのものより、「どの位置で」「何時に」起きた合図かが重要。
2.よくあるダマシの型(5選)
- ストップ狩り(流動性掃除)型
節目を一瞬だけ突破→全戻し。ヒゲが長く残る。 - レンジ端の疑似ブレイク型
レンジ上限/下限を軽く越えるだけで滞在できず反転。 - イベント薄商い型
指標直前直後や出来高が薄い時間帯の“芯のない”抜け。 - 時間足錯視型
下位足の上昇でも、上位足ではレンジ上限に到達=壁に突撃。 - トレンド終盤のラストスパイク型
買い/売り疲れゾーンでの最後の駆け上がり→反転。
3.ダマシの“前兆”サイン
- 上位足(日足・4H)でレンジ端/強い水平線が近い
- ボラ縮小の後に初動だけ強い(続かない)
- 時間帯が中途半端(東京昼、週末、祝日)
- 長いヒゲの連発、足の終値が節目の内側に戻る
- 相関市場(株・金利・ドル指数等)が同意していない
4.見破り方と戦い方
(1) 文脈の地図化
- 週足/日足→4H→1H→15mの順で、**「今はトレンド?レンジ?端か中心か?」**を確認
- 線は**“やる価格”の上限・下限の2本**を基本に(増やしすぎない)
(2) 「抜けた」ではなく「確定した」を待つ
- 節目越えは、終値での確定を重視(上位足ほど信頼度↑)
- ブレイク→戻り(リテスト)→再始動で入る。初動に飛びつかない。
- 2本連続で節目外にクローズ or 戻りの高安更新を待機
(3) 時間帯フィルター
- ロンドン序盤/NYメインの厚い時間を優先
- 指標30分前後は見送り。薄い時間の“抜け”は原則スルー
(4) 失敗の活用(フェイルド・ブレイク戦略)
- 抜けたのに定着できず内側に戻る→方向転換のサイン
- 例:上抜け失敗→戻り売り。下抜け失敗→押し目買い。
(5) 損切りとサイズ設計
- **“狩られにくい外側”**へ置く(直近スイングの外、ATR×1〜1.5目安)。
- ロットは損切り幅から逆算。近い損切りにロットを合わせない。
- 1日最大トレード数を決め、取り返し病を封じる。
「初動は見送る勇気。確定と再始動だけを獲る。」
5.手 順
- 上位足で位置を確認(トレンド/レンジ、端/中心)。
- 当日の上限・下限の2本線を引く。
- シグナル発生 → 終値で確定 or リテスト待ち。
- 相関(株・金利・ドル指数)と時間帯をチェック。
- 損切りは外側、ロットは逆算。
- 2回目の入場は理由が強化された時だけ。日内2回まで。
6.ケーススタディ
Case A:ドル円・レンジ上限
- 4Hでレンジ上限。15mが上抜け→終値はレンジ内に復帰
- 次の足で再び内側に深く戻り、上抜け失敗確定
- ショート:リテスト弱含みで入場。損切りは直近高値の外
- 結果:レンジ中心まで滑走。初動のロングはダマシに
Case B:株指数CFD・指標前
- 指標30分前に小さく上抜け→ヒゲ連発。出来高薄い
- 指標後に本命方向へ一気
- ルール通り指標前は見送り→指標後の戻り待ちで参戦
Case C:仮想通貨・週末夜
- 週末の薄商い。明確な高値越えも板が軽く、一発で反転
- 週明け流動性回復まで見送り、確定とリテストを待って入場
7.5秒チェックリスト(入る前に)
- 上位足のトレンド or レンジの端では?
- 抜け“続ける”条件(出来高・時間帯・相関)は整ってる?
- 戻り(リテスト)待ちになっている?
- 損切りの位置が“狩られにくい”か(近すぎない)?
- 今日の指標時間は? かち合わない?
「“待つ技術”が、ダマシを味方にする。」
8.まとめ
- ダマシは方向の間違いではなく、位置とタイミングのズレ
- 上位足の文脈 × 抜け“続ける”確認 × 戻り待ちが解毒剤
- トレード数を絞り、“やらない”という選択を常備する。

