どちらが大事?と聞かれたら、答えはどちらも大事。
ただし、短期(デイトレ~数日)で利益を狙うならテクニカルの比重を高める。一方で、相場観のベースや銘柄・通貨の選別、リスク感応度の見積もりにはファンダメンタルズが不可欠。
そしてもう一つ大事な掟――経済指標の発表時間を確認せず、その時間帯に“テクニカルだけ”で戦うのは間違い。これは外さない。
「チャートで仕掛け、ファンダで生き残る。」
1. テクニカル分析の要点(短期で効きやすい理由)
メリット
- タイミングが明確:エントリー/イグジットの基準を線一本で言語化できる。
- 反射神経勝負に強い:ニュースより先に値動きがサインを出す場面が多い。
- 再現性:検証とルール化がしやすく、改善サイクルを回せる。
デメリット
- イベントに弱い:指標や要人発言で価格が“飛ぶ”と、セットアップが無効化。
- ノイズ多発:レンジではダマシが増え、損切り頻度が上がる。
- 過信リスク:チャートだけで世界を説明しようとすると、ボラの“理由”を見誤る。
2. ファンダメンタルズ分析の要点(“土台”として効く理由)
メリット
- 方向性の根拠:金利・成長・需給など“価格の背景”を押さえられる。
- 持ちやすさ:納得感がある分、ブレにくい。大きなトレンドに沿いやすい。
- イベントの地図:いつ、何が、どれくらい動かしうるかの事前設計が可能。
デメリット
- タイミングの曖昧さ:良い見立てでも、入る“秒”は教えてくれない。
- 解釈の幅:同じ材料でも市場が逆に反応することは珍しくない。
- 情報負荷:追いすぎると“結局入れない”に陥る。
3. ここを外すな:指標カレンダー無視は“敗着”
- 原則:CPI・雇用統計・政策金利・要人会見など、発表前後はテクニカルの優位性が低下。
- 運用ルール例
- 発表30分前~15分後は新規エントリー禁止(または枚数を半減)。
- 既存ポジはストップを機械的にタイト化、あるいは一部利益確定でイベントリスクを圧縮。
- スプレッド拡大・滑りを前提に、指値/逆指値の置き場を再点検。
4. 自分に合った“重みづけ”の見つけ方
向き・不向きは“時間・得意・性格”で決める。
- 時間帯
- 朝~昼に余裕:為替なら東京時間のレンジ回帰を前提に短期テクニカル比重↑
- 夜型:欧米指標・要人発言が多くファンダの地図+ブレイク狙いが噛み合う
- 得意分野
- ロウソクの癖や板の呼吸が読める→テクニカル寄り
- マクロや決算を読み解くのが得意→ファンダ寄り
- 性格
- 機械的・即断即決→短期テクニカルとの相性◎
- 腰を据えて検討→ファンダで方向を決めスイングが合いやすい
ただし、どちらか一つではダメ。
**地図(ファンダ)**があってこそ、**足運び(テクニカル)**が活きる。
5. 二刀流の実装フレーム(僕の基本線)
- 地図づくり(ファンダ):
主要テーマ(景気・インフレ・金利・需給)と今週のイベント列挙。想定シナリオA/Bを用意。 - 仕掛けの型(テクニカル):
トレンド/レンジを事前に判定し、入る足・出る足・無効化条件を明文化。
例)上昇トレンド:押し目+陽包み/前回高値越えでIN、直近安値割れでOUT。 - サイズと損切り:
リスク一定(1トレード=口座の0.5~1.0%)。イベント前は半分。 - ふりかえり:
「ルール通りか?」「指標を見落としていないか?」を毎回チェック。
6. 具体的な使い分けイメージ
- 超短期(為替・CFD)
- テクニカル:7/ファンダ:3
- 例)トレンド継続なら移動平均への回帰+プライスアクションでエントリー。
ただし今夜CPIなら新規は見送り、保有は半分利確+ストップ繰り上げ。
- スイング(株式・FX数日)
- テクニカル:5/ファンダ:5
- 例)マクロ追い風+セクター強い→押し目で分割IN。決算・指標前は枚数抑制。
- 中長期(投信・現物)
- テクニカル:3/ファンダ:7
- 例)低コスト・分散を軸に、景気循環と金利サイクルを意識して配分調整。
7. よくある失敗と対処
- 失敗:ニュースで盛り上がって飛び乗り → 対処:“最初の波”は見送り、押し戻り待ちに統一
- 失敗:チャート完璧でも“なぜ動くか”を知らない → 対処:週初に指標カレンダーを確認して“触らない時間”を決める
- 失敗:損切り先送り → 対処:無効化ラインを先に書く(価格で機械的に執行)
8. 今日のひとこと
- 「ルールは“平時”に書き、戦場では従うだけ。」
- 「目線はファンダで決め、手はテクニカルで動かす。」
- 「イベントは“当てに行く”場ではなく、“守りを固める”時間。」
まとめ
- 短期はテクニカル重視。ただし土台のファンダがないと勝率が不安定。
- 指標時間は触らない(またはサイズ半分)。
- 自分の“時間・得意・性格”で重みを決め、二刀流を回す。
最後にもう一度。どちらか一つではダメ。
**チャートで入って、ファンダで持ち、ルールで守る。**それが僕の二刀流。
免 責
本記事は筆者の個人的見解・学習メモです。特定銘柄・通貨・商品の売買を推奨するものではありません。最終判断はご自身の責任にてお願いします。


