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MACD×EMA20/80/200の実戦ガイド―ダマシを減らす実戦テンプレ

2. テクニカル分析

・テクニカルに絶対はない。だからこそ「負けを小さく」の設計が最優先。
・MA20/80とMACDは相性が良い。方向=80日/期間、タイミング=20日+MACDで役割分担。
・ダマシ対策は「待つ・重ねる・切る」。確定足まで待つ/根拠を重ねる/損切は機械的に。

サマリー
・MACDは「勢いの拡大/減速」と「転換の早さ」を可視化する指標。
・クロス単体ではなく、ゼロライン位置×ヒスト拡大×EMA20/80/200で濃淡を付ける。
・“待つ力”=反転確定足まで待つ/RR≥1:1を確保/損切りは先に置く。

1. ダマシとは何か?なぜ起きるのか?

 価格が「シグナル通り」に動きそうに見せて逆行する現象。主因は次のとおり。

  • 時間足の不一致:上位足はレンジなのに、下位足のクロスだけで入る。
  • 流動性の薄さ/節目前の揺さぶり:直近高安・ラウンドナンバー付近のストップ刈り。
  • ニュース・イベントのボラ:経済指標や要人発言で一時的に“形”が崩れる。
  • “線だけ”トレード:移動平均やMACDを単独で信じ、環境認識が抜ける。
ダマシ回避の原則上位足の“地形”に順張り確定足まで待つ根拠を合流(MA20+水平線+MACD)/損切は機械

2. MA20/80×MACD:役割分担でブレを抑える

  • MA80 … 中期トレンドの“地形”。傾きと価格の位置(上か下か)で方向を定義。
  • MA20 … エントリーの“滑走路”。トレンド方向への押し・戻りの基準線。
  • MACD(12,26,9) … タイミング/モメンタム。クロスとヒストグラムで“勢い”を読む。

シグナルの合成(強弱の目安)

条件 観測 シグナル強度
地形価格がMA80の上、MA80は上向き◎(買い優位)
滑走路押しでMA20に“タッチ~軽く割れ”→反発○(押し目成立)
勢いMACDのGC(ゼロライン上)+ヒスト増加◎(モメンタム良)
環境直近高値まで余地あり/イベントなし○(妨げ少)

要点:クロスは“合図”。ヒストの拡大方向ゼロラインの上下で質を評価し、MA20/80/200で“地形”を重ねる。


3. 具体ルール

時間足の組合せ(前提)

  • デイトレ:上位=4時間/基軸=1時間(確認=15分)
  • スイング:上位=日足/基軸=4時間(確認=1時間)
    ※以降のルールは、上位足の“地形(MA80の傾き+価格位置)”に順張りが前提。

ロング(買い)

  1. 上位足の地形:価格がMA80の上、MA80は上向き。逆なら見送り。
  2. 押しの形成:基軸足でMA20へ接近~軽い割れを待ち、反転足が終値で確定
  3. 勢い(MACD):同じ足でゴールデンクロス。理想はゼロ上+ヒスト拡大。
  4. エントリー:反転足の高値越え確定で成行or指値。
  5. 損切:直近押し安値の少し外側 or ATR(14)×1.2。発注同時に機械化。
  6. 利確:RR1:1到達で半分利確→建値ストップ。残りはMA20割れ/トレール
  7. 環境:直近高値・ラウンドまで余地はあるか/重要指標が近くないか。
  8. 無効化:MA80横ばい~下向き/上位足レンジ中央/ゼロ下GCなど。

ショート(売り)

  1. 上位足の地形:価格がMA80の下、MA80は下向き。逆なら見送り。
  2. 戻りの形成:基軸足でMA20へ戻り→反転足が終値で確定
  3. 勢い(MACD):同じ足でデッドクロス。理想はゼロ下+ヒスト(マイナス側)拡大。
  4. エントリー:反転足の安値割れ確定で成行or指値。
  5. 損切:直近戻り高値の少し外側 or ATR(14)×1.2
  6. 利確:RR1:1で半分利確→建値ストップ。残りはMA20上抜け/トレール
  7. 環境:直近安値・ラウンドまで余地/イベント前は見送り。
  8. 無効化:MA80横ばい~上向き/上位足レンジ中央/ゼロ上DCなど。
ポイント“待つ・重ねる・切る”を徹底。確定足まで待ち、MA20+水平線+MACDの合流点を重ね、損切は機械に。

4. ゴールデンクロス/デッドクロスを“値打ち付け”する

ゼロライン×クロスの基本
ゼロラインGC強い順張り候補 ゼロラインDC弱い順張り候補
勢いの裏付け(ヒストグラム)
クロスにヒスト拡大が伴っているか? → 拡大=加速中縮小=減速
地形(EMA80/200)と整合
  • EMA200の上下で順・逆を即判定
  • EMA80/200が同方向に傾斜=追い風/横ばい=レンジ注意
エントリー判断フロー
  1. ゼロライン位置:GCなら、DCならか?
  2. ヒストグラム拡大方向へ転じたか?
  3. EMA80/200:傾きはクロス方向と合致しているか?
  4. 価格×EMA20:反転確定足まで待てたか?
  5. 余地&RR:次の水平線まで距離は十分? RR≥1:1確保?
場面 期待値の目安 見るポイント 対応
ゼロ上×GCEMA80/200上向き 強い順張り(◎) ヒスト拡大/EMA20反発の確定足 エントリー候補。RR≥1:1で段階利確+トレール
ゼロ下×DCEMA80/200下向き 弱い順張り(◎) ヒスト拡大(マイナス側)/EMA20戻り反落 エントリー候補。直近戻り高値外に損切り
ゼロ上DC/ゼロ下GC 逆行気味(△〜×) ヒスト縮小/EMA横ばい 原則見送り。レンジ判定なら様子見
ゼロ付近でのGC/DC ノイズ増(△) クロス多発・方向不明瞭 ヒスト拡大待ち+EMA20の確定足まで待つ

5. ダイバージェンス:逆張りではなく“減速確認の順張り”へ

  • 高値更新なのにMACDの山が切り下がる=弱気ダイバ(上昇の減速)
  • 安値更新なのにMACDの谷が切り上がる=強気ダイバ(下落の減速)

使い方:ダイバで“いったん波が終わった”と判断→EMA20への再調整を待つ→再加速(ヒスト拡大)で順張り入り直し。“反転当て”ではなく二段目を取りに行く。

ダマシ回避チェック
地形:価格はEMA200のどちら側? EMA80の傾きは?
滑走路:エントリーはEMA20の反転“確定足”まで待った?
勢い:MACDヒストは拡大方向?(ゼロライン優位が理想)
余地:次の水平線/直近高安まで距離は? RRは≥1:1
リスク:損切は押し安値/戻り高値の外 or ATR×係数で先に置く

6. 時間帯とコスト(初心者ほどここを守る)

  • 欧州〜NY序盤は出来高も伸びも出やすい。
  • 重要指標の前後はスプレッド拡大・板薄が起こりやすい→建てない/縮小
  • 5分足運用はRRと余地の厳格化が必須(1時間足の方が安定)。

7. あるある質問(Q&A)

初心者くん
初心者くん

MA20にタッチしたら即買いでOKですか?

くろちゃん
くろちゃん

タッチ“だけ”は危険。反転足の確定+MACDのクロスまで待つ。MA80と逆なら見送るのがベターだよ。

初心者くん
初心者くん

ゴールデンクロスが出たのに下がりました。なぜですか?

くろちゃん
くろちゃん

ゼロライン下のGCは弱い/上位足はレンジかも。イベント前の“釣り”も多い。確定足と合流点を重視しよう。

初心者くん
初心者くん

“良いクロス”って、結局どれですか?

くろちゃん
くろちゃん

ゼロ位置(上ならGC/下ならDC)+ヒスト拡大EMA80/200の傾きが揃い、最後にEMA20の反転確定足まで待てたクロス。


8. チェックリスト(エントリー前の最終確認)


9. 失敗パターンの典型と対策

失敗あるある 原因 対策
MA20タッチ即エントリー→すぐ割れる 飛びつき注意 “形”だけで反転未確定 反転足の確定+MACDクロスまで待つ
✅ 終値確定 → ✅ 高値(安値)ブレイクでエントリー
MACDクロス連発で往復ビンタ ノイズ多発 上位足レンジ/ゼロ付近のノイズ 上位足の地形に順張り、ゼロ優位まで待つ
🔎 MA80の傾き/価格位置 → ゼロ上GC or ゼロ下DC
指標直前にブレイクで飛び乗り イベント前 直前の板薄・フェイク 指標前は見送り。直後に“二段目”狙い
🕒 経済カレンダー確認 → スプレッド正常化を待つ
損切幅が狭すぎて刈られる リスク設計 節目やATRを無視 ATR×係数で幅を設計、“外側”に置く
📏 例:ATR(14)×1.2/押し安値・戻り高値の少し外

10. 検証のコツ(再現性をつくる)

  • 銘柄・市場ごとにMA20/80+MACDの効きは異なる。対象を固定して検証。
  • ルールは1つずつ変える(ABテスト)。勝率より期待値(平均損益)重視。
  • 想定ドローダウンを把握し、ロット調整ルールもセットで。
ひとこと:うまくやる秘訣は“勝つこと”ではなく、負けを一定に保つこと。チャートが美しいほど、くろちゃんは一呼吸おきます。

11. まとめ

  • MA80=地形、MA20=滑走路、MACD=勢いで役割分担。
  • 確定足まで待ち、根拠を重ね、損切は機械化
  • ダマシは“悪者”ではない。合流点で拾えば、伸びる局面の前触れにもなる。

免 責

 本記事は一般的な情報提供であり、特定銘柄・手法の成果や利益を保証しません。売買判断・リスク管理はご自身の責任で行ってください。重要指標前後のスプレッド拡大・流動性低下、システム障害等のリスクにも留意を。